2013/07/19

院長日記

汗による皮膚のトラブル

梅雨が明けたと思ったら、急激に暑くなりました。
建物内の涼しい環境から外に出ると、一気に汗をかきますね。
今回は汗による皮膚トラブルについてお話しします。

汗のトラブルと言えば、最も一般的な疾患は「あせも」。これは汗の出てくる管が詰まり、汗が皮膚内部に漏れ出ることで炎症を起こすのです。痒みを伴う小さな赤いボツボツが主に首周りや背中、脇の下や肘、膝裏に出来ます。

あせもに細菌感染が加わると、じくじくして赤く腫れ、痛みを伴うようになります。乳幼児の頭や顔によく見られる症状で汗腺膿瘍と呼びます。これらの予防は居住間を涼しくすることは言うまでもありませんが、シャワーをこまめに浴び、皮膚表面を清潔に保つ事が大事です。

また指や手のひら、足の裏に数ミリの少し痛痒い水疱が出来ることがあります。これは汗疱という湿疹で、主に急激に暑くなる時期や季節の変わり目に生じやすい疾患です。手足に汗をかきやすい人に出やすい傾向がありますが、アトピー性皮膚炎の患者さんにもよく見られます。また、金属アレルギーも関与しており、汗に不要物として排出された金属がかぶれ症状を起こしていることもあります。よって金属を多く含む食物を控えることで治ることもあります。

その他発汗により誘発される蕁麻疹もあります。発汗に関係する神経から出る物質が原因と考えられており、比較的小さな蕁麻疹が出るのが特徴です。激しい運動や香辛料の強い物、アルコールを摂取することで誘発されることもあります。

このように夏季は汗による皮膚トラブルで多くの患者さんが皮膚科を受診されます。汗の中には抗菌ペプチドと呼ばれる細菌の増殖を抑える物質が含まれていたり、皮膚の天然保湿因子の一つであったりと決して悪者ではないのですが、汗を急激に多量にかくような環境でトラブルが増えます。
これを予防するには、外気温と室内の温度差を大きくしないことも重要です。節電意識と共に皮膚への負担も考え、環境庁でも呼びかけていますが、室温は28度ぐらいを目安に設定しましょう。