2015/10/10

院長日記

植物による皮膚トラブル

秋もすっかり深まってきました。
少し肌寒い日もありつつ、空気が澄んで、からっと晴れた日などには、野外に出てレジャーを楽しんだりという事も増える季節ですね。

さて、今回は「植物によるかぶれ」についてお話しします。
かぶれと一言で言っても、実は大きく2つに分けられます。

一つは「刺激性接触皮膚炎」といって、洗剤の原液のような強い刺激成分に触れる事で起こったり、皮膚のバリア機能が弱かったり破壊されていると、皮膚内部に外来物質が入りこみ、炎症を起こすという誰にでも起こり得る皮膚炎です。

もう一つは「アレルギー性接触皮膚炎」といって、ある特定の物質に対してアレルギーがあるため、それに接触する事で皮膚炎を起こすものです。よってその物質に対してアレルギーが無い場合は、触っても皮膚炎を起こしません。

さて、かぶれの報告の多い植物を挙げてみます。
山登りや森林浴などで気をつけるべき植物はウルシ、ツタウルシの樹液、銀杏の種子の周りを覆う黄色の実などです。

ツタウルシ

ギンナン

ご自身のお庭やベランダで栽培する植物では、トキワザクラ、アネモネ、キク、アルストロメリア、ハツユキソウなどです。

トキワザクラ

アネモネ

アルストロメリア

また、食べ物ではマンゴー、パイナップル、キウイ、レタス、セロリ、長芋、シソなどです。
その他にも植物から抽出された精油や薬の生薬なども原因となる事もあります。

さて、かぶれは初めて触れた事のある物で生じるのでしょうか。答えはNOです。
ずっとお庭で育ててるから…仕事で良く触ってるので大丈夫!と思っていらっしゃる方も多いのですが、実はアレルギーとして身体が認識するのは、何回か触れたことのある物質を、突然に身体がこれは異物だと誤認識する事から始まる事が多いのです。

かぶれの原因を調べるには、パッチテストという検査があります。
実際にかぶれの原因として考えられる物質を皮膚に貼って、数日後に反応を起こすかどうかをみる検査です。

今回挙げた植物はかぶれの代表例ですが、実はかぶれを起こしやすい植物はもっと沢山報告されています。

秋の陽気に誘われて、森林浴やキャンプなどで植物に触れる機会があるようでしたら、長袖長ズボンを履き、なるべく肌を露出しないようにしたり、直接触る事かあるのでしたら、軍手などを用意するべきでしょう。