2015/11/04

院長日記

口腔アレルギー症候群

11月になりました。
すっかり秋も深まり、身近な場所で紅葉を楽しんだり、お子様は木の実拾いもまた楽しい季節ですね。

食欲の秋とも言われますが、果物や生野菜を食べると、口の中がイガイガしたり、しびれたりするようなことはありませんか。
これは、「口腔アレルギー症候群」の可能性があります。

この正体は花粉に対するアレルギーがある場合、その花粉の分子に似た構造を持つ食物を食べることで、口腔内の粘膜で花粉が入ってきた!と勘違いして、アレルギー反応が起こるのです。
原因は、シラカンバやハンノキの花粉にアレルギーがある場合は、リンゴ、サクランボ、モモ、セロリ、マンゴーなどを食べることで症状が出ることがあります。
また、イネ科の花粉にアレルギーがある場合はメロンやスイカ、トマト、キウイなどで症状が出る場合があります。

特定の食物を摂取した直後に口の中やのどの違和感、かゆみ、声がしわがれるような症状が出て、しばらくすると症状は自然と治まる場合が多いのですが、
稀に吐き気や腹部症状といった全身症状、また蕁麻疹、呼吸困難やアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。
よって、原因である食物を知っておく必要はあるでしょう。
原因の特定は「これを食べると喉の違和感が出る」という症状のみで特定出来てしまうのですが、採血で検査することも可能です。

尚、口腔アレルギー症候群は生の状態で、いわゆる「そのまま」の状態で食べると症状が出ることが多く、缶詰や加熱したものでは症状が出にくいのも特徴です。
なぜならば、加熱することで原因である物質の性質が変わるためです。

さて、この疾患は花粉症の症状がある方のみ症状が出るのでしょうか。
答えはNOです。
ご自身が花粉にアレルギーがないと思われている方でも、特定の食物で口の中がイガイガする場合は、検査すると花粉にアレルギーがある場合もあるのです。
また逆に、花粉症があっても、全ての人が「口腔アレルギー症候群」になるわけではありません。

口腔アレルギー症候群の対策ですが、やはり一番は原因となる食物の摂取は極力控えることになります。
また、万が一食べてしまう危険性があったり、いまだに何が原因で症状が出るかわからない場合は、抗アレルギー剤を常備しておき、症状が強い場合は直ぐに対処できるようにするべきでしょう。
呼吸困難などの全身症状が出る場合は、ショック症状が出た場合に直ぐ実行できるように、対策を事前に確認する必要もあるでしょう。