2016/01/06
院長日記
新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。
今年は、全国的に穏やかな暖かいお正月でしたね。
今年もみずの皮フ科医院はスタッフ一同、皆さまの身近な医院として頑張っていく所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回は爪の変形についてのお話しをします。
爪は皮膚のケラチンが硬くなったもので、指先の保護や支持、指先の感覚を敏感に感じ取るといった機能を担っています。
爪は 1 日に 0.1~0.15mm ほど伸びますが、年齢と共にその伸びる速度は遅くなります。
また、手の爪よりも足の爪の方が伸びる速度は遅くなります。
さて、爪は指先の保護や支持をしているため、長期間指先に負担がかかると、爪の変形を生じることもあります。
パソコンやピアノなどのキーボードを長時間使用する方、指先を駆使するような職業もしくは趣味のある方などでは、爪の先端部が割れたり、爪の表面がガサガサしたり、爪が反対に反り返ったりといった症状が見られます。
ネイルアートを長期間していると、爪の甘皮処理や除光液で爪表面が傷付き、爪表面に線状のすじが出来たり、爪自体の光沢が無くなって、白く濁ったり、二枚爪になったりします。
慢性的な指や手の湿疹や指先の外傷では、爪を作る爪母という部位にもダメージが加わり、爪が波のように変形することもあります。
また、内科的な、疾患の二次的な症状として爪の変形が出現することもあります。
先ほどお話しした爪が反対に反り返る症状は「匙状爪(さじじょうづめ)」と呼ばれ、鉄欠乏性貧血や甲状腺疾患、ビタミン欠乏症に伴う事があります。
爪が皮膚から剥離する症状、「爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)」は甲状腺疾患や膠原病に伴うこともあります。
爪全体が大きくなり、腕時計を覆うガラスの様に丸く隆起して、指先も太鼓のバチの様に肥大する症状は、「時計皿爪(とけいさらづめ)太鼓バチ指(たいこばちし)」と呼ばれ、慢性的な心疾患や肺疾患や甲状腺疾患などに伴うこともあります。
また、皮膚の慢性疾患である乾癬や円形脱毛症では、爪表面が針でつついたように点状にへこんだ変形が見られることもあります。
その他、爪白癬では、初期は爪に縦方向に白い筋ができ、少しずつ爪が厚く白く濁り、最終的には牡蠣の殻のように爪が変形します。
爪の変形に対する治療は、内科的な疾患に伴う症状であれば、内科的治療が優先されるのは言うまでもありませんが、外的な刺激で生じたものや指の湿疹や外傷などの二次的な変化による爪の変形はステロイドを使用したり、爪の保護をするために日中保湿クリームを爪に外用することもあります。
爪白癬は、抗真菌剤の内服もしくは、外用で治療します。
しかし、爪の症状に対する治療期間はとても長くなることが多いため、改善するまでには少し長い目で見ていただき、地道で着実な治療が必要です。
もちろん、外的な要因で症状が出現している場合は、出来る限り原因を取り除くことも重要です。