2016/02/09

院長日記

女性に生じる脱毛症

2月になりました。
立春もすぎましたが、まだまだ寒気が関東地方を覆う事も多いようで、寒い日もちらほら。油断できませんね。

ここ数年、男性型脱毛症(AGA)についてはテレビのCMなどで目に触れる機会が増え、比較的治療をされる方が増えてきたように感じます。しかし、女性型脱毛症については割と知られておらず、どこに相談したら良いのか、どのような治療があるのかと悩まれていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

今回は女性型脱毛症(FAGA)についてお話ししようと思います。

女性型脱毛症は男性ホルモンが影響して生じるものですが、なぜ女性にもそのような症状が出現するのでしょうか。
それは、女性ホルモンには毛の成長を促す作用もあるのですが、40代後半からはこれらの分泌が減少します。また、元々女性でも副腎から男性ホルモンが分泌されていますが、女性ホルモンが減少することで、男性ホルモンが毛根に影響し、男性型脱毛と同じような症状を生じるのです。

また年齢的な問題でなくても、その他の原因で男性ホルモンが増えると、同じ症状が出現することもあります。
例えば、何らかの治療で男性ホルモンを使用している方や、卵巣疾患で男性ホルモンが増えてしまうような場合です。

女性型脱毛症の症状は、額が広くなったり、頭頂部の毛の密度が減ったり、毛髪が全体に細くなります。

治療は男性型脱毛症のように内服治療はできませんので、外用療法になります。
女性型脱毛症に対する皮膚科のガイドラインでは、薬局でも購入のできる女性用のミノキシジルを外用することが推奨されており、比較的効果が高いと思われます。
その他、塩化カプロニウムなどの外用薬も知られています。

尚、女性に生じる脱毛症は男性ホルモンの影響で出現するものだけではなく、「休止期脱毛」も重要です。
毛には成長期、休止期、退行期とよばれるサイクルがあります。
頭髪はそのほとんどが成長期の毛で残りの2割ほどの毛が休止期または退行期の毛です。
成長期の毛は毛根がしっかりしているので、力を入れなければ抜けませんが、休止期の毛は、毛根が消退しているので、自然に抜け落ちます。
よって、正常な状態であれば、自然に抜ける毛もありつつも、成長期の毛が残るので、毛が薄くなることはありません。

しかし、なんらかの影響で、成長期の毛が減少し、頭髪のほとんどが休止期に入ってしまうことで生じる脱毛症もあります。これを「休止期脱毛」と言います。
妊娠中は全身的に毛が濃くなるのはご存知かと思いますが、これは妊娠中に分泌されるホルモンの影響で毛の成長が促されるからです。しかし、出産後はホルモンが減少するために、これらの毛が一気に休止期になってしまうために生じるのです。
その他、休止期脱毛は大きな精神的ストレス、外科治療、内科的な疾患又は内服薬によって生じることもあります。

毛が薄くなったという悩みから、むやみに自己判断で色々な治療を試すよりも、原因を明らかにして、治療を行った方が、効果は高いと思います。
男性だけでなく、女性も毛の悩みは皮膚科にどうぞご相談ください。