2016/07/13

院長日記

日光で誘発される「かぶれ」

今年は空梅雨なのでしょうか・・・。
既に真夏の様な天気の日もちらほらで、今年は夏が長くなりそうです。

さて、今回は湿布かぶれのお話しをします。かぶれは比較的身近な皮膚炎ではないでしょうか。
植物や化粧品、金属などアレルギーのある物質が皮膚に接触すると、かゆみを伴う赤みや小さな水疱が出来るのが特徴です。

特殊なかぶれとしては、ただ接触しただけでは症状は出ず、接触した部位が日光に当たると皮膚炎が生じるかぶれもあります。
その代表例が湿布によるかぶれです。
「ケトプロフェン」と呼ばれる物質が皮膚内に入った後に、紫外線を浴びることで化学変化し、これがアレルゲンとなってかぶれを起こすと言われています。
よって紫外線を浴びない場所では湿布を使っても問題ないのに、紫外線を浴びる場所に貼ると、皮膚炎を生じます。
患者さんによっては、湿布を貼っても皮膚炎が出る部位と出ない部位があるので、まさか湿布が原因とは思わない場合もあります。

また、3~4週間はアレルゲンが皮膚内部に残っているため、しばらく湿布を使っていなかった場合でも、紫外線を浴びれば症状が出現するのも特徴です。

このように日光を浴びなければかぶれ症状が出ない皮膚炎を「光接触性皮膚炎」と呼びます。
化粧水や香料、香油、そのほか果汁でも報告があります。

かぶれの治療はステロイドを外用したり、炎症が強い場合は抗アレルギー剤を内服します。
また、一番大事な事は、一回かぶれを起こした物は皮膚炎が治った後にも使用出来ません。
一度、皮膚の免疫を担当している細胞が「これは合わない!」と判断すると、ずっと覚えています。
そしてまたそれらを使用すると、皮膚が反応し皮膚炎を起こします。

かぶれの原因は「パッチテスト」で検査することができます。

かぶれの原因となるものは、環境にあれば何でもといっても過言ではありません。
また、ずっと使っていた物はかぶれの原因とはならないと思っている方もいらっしゃいますが、アレルギーはずっと使っているうちに「これは合わない」と体が判断することで生じるので、要注意です。

かぶれは侮れない皮膚疾患の一つです。
何かを使うとかゆみや赤みが出る場合は、一旦使用を中止して、皮膚科を受診して下さい。