2016/12/30
院長日記
今年も1年ありがとうございました。
いよいよ今年もあと2日です。
最近は湿度が下がっていますので、皮膚の乾燥によるトラブルで受診される方が多くみられます。
皮膚の乾燥は皮膚のバリア機能が弱まることから生じます。
今回はその「バリア機能」についてお話しします。
皮膚の最も外側にある皮脂、汗、角層、そして角質の間に存在するセラミド等が膜を作り、様々な刺激から皮膚を守る働きをバリア機能と言います。
このバリア機能が弱っていると、かゆみを感じる神経が角層近くまで伸びて来るため、かゆみを感じやすくなります。
こたつに入ったり、身体を暖めるだけで・・・又は洋服が擦れただけで、無性に痒くなる!こんな経験ないでしょうか?
かゆみに敏感な状態が長く続けば、皮膚を掻くことが増え、さらに皮膚のバリア機能は破壊されます。
また破壊されたバリア機能の隙間からは皮膚内部の水分がどんどん抜け出し、かつ外からの異物が入りやすい状態となり、様々な刺激が炎症を起こします。
どういう方がバリア機能が弱く、乾燥しやすいのでしょうか。
まず、乳幼児は成人よりも皮膚が薄いため、水分を保持する力は弱くなります。
また高齢者の方は保湿因子の1つである皮脂の分泌が少ない為に皮膚が乾燥しやすい傾向にあります。
またアトピー性皮膚炎の患者さんは天然保湿因子を作り出せない傾向があるためにバリア機能が弱くなります。
その他、石鹸に含まれる界面活性剤が角質の細胞と細胞をつなぐ脂質を溶かしてしまうと、バリア機能が弱まりますので、石鹸やタオルで洗っている方もバリア機能が弱まります。
バリア機能を強くするには?
第一にスキンケアーが重要です。色々な保湿剤がありますが、大きく2つに分けられます。
1つは表面を覆って水分の蒸発を防ぐ役割のあるワセリン。
もう1つは角質の中に入って角質自体を潤す役割のある、ヘパリン類似物質や尿素製剤です。
市販の保湿剤ではセラミド等の保湿因子の入った物もあるようです。
どんな保湿剤が良いかと言えば、本来ならば皮膚の水分量が元々多いお子様はワセリン系、皮膚の水分量が減っているご高齢者は水分を保持するためにヘパリン類似物質や尿素製剤が良いと言われています。
しかし、塗り心地が悪いとつい塗るのを怠ってしまうので、塗り心地を重視しても良いのではと思います。
また、掻き壊しで皮膚が傷ついている場合はローションやクリーム基材の保湿剤は刺激になるので、注意が必要です。
また、「バリア機能を守る」という意味ではお風呂の入り方も重要です。
角質は本来、疎水性がありますので、湯船に入って皮膚を軽く擦るだけで、角質は容易にポロポロと取れてきます。
それにも関わらず石鹸やボディーソープを使ったりタオルで身体を洗えば、さらに角質を取ってしまうことになります。
また、石鹸に含まれる界面活性剤は角化細胞をくっつけている脂質を溶かし、皮脂膜も取り去ってしまいます。
皮膚を洗う時は、シャワーもしくはお風呂のお湯で流すだけで良いのです。
昔は健康を保つために寒い冬に寒風摩擦等をしていた時代もあったようですが、今は「皮膚は洗わない、擦らない」が大事です。
最後になりましたが、今年も1年ありがとうございました。
年々1年が過ぎるのが早くなっていく感じがします。
みずの皮フ科医院に開院当初から通っていただいているお子様がすっかり大きくなっていらっしゃると、驚きとともに、自分の歳を感じたり・・。
そんなこんなの1年ですが、来年も皆様にとって身近な皮フ科医院として頑張っていきたいと思います。
スタッフを代表しまして、来年もよろしくお願い申し上げます。