2017/04/12
院長日記
原発性局所多汗症
さくらも昨日の風と雨でほとんど散ってしまいました。
今年は東京の桜の開花が全国1位だったとのこと。
なんでも、冬がある程度の期間寒くならないと、桜の開花準備が整わないとのこと。
気候変動が起きているというサインなのでしょうか。
さて、今回は「原発性多汗症」についてお話しします。
これは、手や足、腋(わき)などの身体の一部に汗が多い疾患のことを言います。
幼小児期から学童期に発症することが多いようですが、腫瘍や外傷などをきっかけに神経が障害され、生じることもあります。
症状の重い例では時にしたたり落ちる程の発汗がみられます。
手の多汗症の方は、緊張すると発汗が促されるため、テストの時にテスト用紙が汗で湿ってしまうほどの方もいらっしゃいます。
また、腋窩の多汗症も同じく、精神的緊張や温熱刺激によって左右対称性に腋の下に沢山の汗をかき、シャツを日中取り換えなくてはならないほどのこともあります。
治療法は塩化アルミニウムを多汗の見られる部位に外用する方法や、イオントフォレーシス法が第一選択になりす。
イオントフォレーシスとは、水道水を浸した容器に手や足をいれ、微量な電流を流すという方法です。
これら2つの方法は、塩化アルミニウムや水道水に含まれているイオンが汗の管を塞ぎ、汗が出にくくなるという原理です。
ただし、イオントフォレーシスは腋には技術的に難しいのと、手軽に自宅で行うことが難しいので、塩化アルミニウム外用治療を行う事が多いです。
その他の治療は、手のひら、足の裏全てにA型ボツリヌス毒素(BT-A)を局所的に注射をする方法です。
ただ、本邦ではボツリヌス毒素局注療法は、腋の多汗症のみが保険が適応で、手足は保険外になります。
また、医師側に施行するための免許が必要な為、どこの病院でも行っているとは限りません。
その他には、手のひらの多汗症のみの適応ですが、内視鏡で胸部の神経を遮断する方法もあります。
ただ、大がかりな治療なので、他の治療を試しても効果がない場合に適応となります。
また、「代償性発汗」といって、手の発汗は抑えられても、他の部位での発汗が強くなる場合もあります。
多汗症の症状で悩んでいても、どの科に行けば良いのかがわからない方もいらっしゃるかと思います。
まずは皮膚科を受診されて、皮膚科でできる範囲を越えているようなら、適宜他科と連携した治療をすると良いかもしれません。