2017/10/14

院長日記

「大人のニキビ」のケアーについて

週末になって急激に外気温が下がりました。
今週は寒暖差があり、衣替えも中々進まないでいます。
秋というと、さわやかで気温も丁度よい過ごしやすい気候になるというイメージが自分の中ではあったので、今年のこの気候には多少違和感を感じています。

さて、今回は以前にもお話しした、「ニキビ」について取り上げたいと思います。
ニキビの原因には大きく分けて二つあります。

一つは「思春期にできるニキビ」、もう一つは「思春期以降にできるニキビ」。

「思春期にできるニキビ」は二次性徴を向かえるとホルモンの影響で毛穴から沢山の皮脂が分泌され、その皮脂が酸化されたり、皮脂や角質が毛穴を塞いだり、毛穴にニキビ菌が増殖することで発症します。

「思春期以降に出来るニキビ」は皮脂の分泌が多いのではなく、皮膚が乾燥やダメージを受けることで皮膚の生まれ変わりが上手にできなくなって出来ることが主な原因です。
今回は「思春期以降に出来る、大人ニキビ」について詳しくお話しします。

診察している中で、「大人ニキビ」の方は皮膚が乾燥して荒れている状態の方が多く見られます。
問診をしてみると、
「お化粧を落とす際にクレンジングを使用し、その後に洗顔料で洗っています、朝も洗顔料で洗っています。」
「化粧水をつける時にはコットンを使ってます。」
とおっしゃる方がとても多いのです。

実はこれらの行為は皮膚を守るべくバリアー機能の破壊を招き、皮膚の生まれ変わりを悪くします。
なぜならば、洗顔料もクレンジングも皮脂膜や皮膚の最も外側の角質を溶かし、正常なまだ皮膚を守るべく存在していた膜をすべて人工的に取ってしまうのです。
そうなると、皮膚はあわてて皮脂を出してバリアー機能を高めようとしたり、それでもカバー出来ない部位は隙間だらけの皮膚になってしまい、この隙間から皮膚の水分がぬけて皮膚が乾燥するのです。乾燥した皮膚は毛穴を封じ、ここにニキビの原因菌が繁殖すると、「ニキビ」になります。

「大人ニキビ」の原因は、メイクやほこりによる汚れが原因ではありません。
「洗顔料での洗い過ぎ」「コットンで皮膚を擦る」が原因です。

では、具体的に皮膚のケアーはどうしたらよいのでしょうか。
お勧めは化粧下地やファンデーションはお湯で洗い流せるタイプがよいでしょう。
ファンデーションはパウダータイプが良いと思います。
ただ、カバー力は落ちるので、どうしても重要な用事がある日だけはしっかりメーク、そうではない日は上記の化粧をされるのも良いと思います。
また、しっかりメークをした場合はクレンジングも紙でふき取るタイプではなく、水になじませて洗い流すタイプにしましょう。
逆にお湯で洗い流すタイプのファンデーションの場合はぬるま湯で洗うだけで良いと思います。

洗顔料はクレンジングをした後は使わないようにしましょう。
クレンジングのみで充分メークだけでなく、皮膚の表面の汚れは落ちているはずです。
また、朝は洗顔料は使わず、お湯で洗い流すだけで大丈夫です。

化粧水や乳液は、色々と効果のあるものであればあるほど、内部に含まれる成分が多くなるので、皮膚に負担をかける可能性があります。
極端にいえば、赤ちゃんでも使える物や、皮膚科で処方してもらうような保湿剤で良いと思います。

また、皮膚科での治療もここ数年でかなり選択肢が増えました。
以前は抗生剤の外用や内服が主流でしたが、ニキビの原因の一つである、毛穴を塞いでいる角質を取る薬が登場し、中々治らなかったニキビを改善させたり、ニキビの全段階である面ぽうという状態で予防し、大きく腫れるニキビをできにくくしたり出来るようになりました。

しかし、ニキビ治療は一筋縄ではいかないことが実に多く、また、ニキビの様々な段階に応じて適した治療をしなくてはなりません。
そして、上記に挙げた普段のケアーを徹底して続ける事がとても重要になります。

また皮膚科で治療を開始したら、自己判断で中止したり、ネットなどで評判の良い外用薬を使ったりするのではなく、定期的に専門的な治療を受けることが大切です。