2017/11/13
院長日記
アトピー性皮膚炎のスキンケアー
ここ最近、湿度が下がってきました。
アトピー性皮膚炎の患者さんにとっては、湿度の低い冬は皮膚の状態が悪化しやすく、辛い季節だと思います。
今回はアトピー性皮膚炎の方の皮膚ケアーについて、お話ししたいと思います。
アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、皮膚の最も外側の角質をがっちり固めておく物質の材料「フィラグリン」が作られにくいという性質があります。
このため、皮膚の内部の水分は湿度が下がることにより、どんどん外に出てしまします。
また、皮膚内部では炎症を起こすリンパ球や好酸球、肥満細胞などが常に待ち受けており、隙間だらけになった角質から悪化因子であるダニやホコリ、花粉など様々な刺激が入ってきては、炎症を起こすという悪循環が起きています。
この悪循環を断ち切るには、まずはこの皮膚の隙間を埋めるべく、保湿剤でケアーすることが大事です。
また、かゆみや湿疹のある部位にはステロイドを代表とする抗炎症作用の薬を塗ります。
さて、保湿剤もステロイドも塗る量を適切に守らないと、効果は出せません。
時に「きちんと薬を塗ってるのに、全く良くなりません。」という方がいらっしゃいます。
適切な量を守って外用していれば、とうに前回処方した薬は無くなっているはずなのに、まだ薬は残っていますと・・。
薬の適量は、クリームや軟膏基剤では人差し指の第一関節までの長さで太さは5mm、重さで言えば、0.5g、この量が手のひら2枚分の面積に相当します。
ローション基剤では、1円玉大で掌2枚分の面積です。
湿疹が手のひら1枚分の面積であれば、単純に半分の量で良いわけです。
また、薬を塗る期間も非常に大切です。
薬を塗ると数日で改善してくるので、その時点で止めてしまう人もいらっしゃるかと思います。
しかし、先ほどお話ししたように、アトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚の水分が抜けやすく、かつ、皮膚内部では炎症を起こす細胞が待ち受けています。
よって、薬をつけないでいると、湿疹が瞬く間に出てきてしまうのです。
最近では「プロアクティブ療法」「リアクティブ療法」という方法が推奨されています。
これは、改善してきたら薬を塗る頻度を少しずつ減らす(プロアクティブ療法)。
湿疹が再発してきたらひどくなる前に薬を適量外用する(リアクティブ療法)という方法です。
具体的な方法については、フォローしていただいている皮膚科の医師に指導していただくと良いでしょう。
最後にアトピー性皮膚炎は完全に治るというのは、現時点では難しいとされています。
ただ、スキンケアー次第で、湿疹を再発しにくくすることは可能です。
ステロイドに頼ることを不安に感じていたり、このままずっと治らないのではないかと心配される方も多いかとは思います。
ご自身が不安に感じた時に自己判断で治療を中断するのではなく、ぜひ皮膚科医に相談して頂ければと思います。