2018/02/21

院長日記

乳児性脂漏性湿疹

2月も下旬になりました。

1週間ほど前から花粉が飛び始め、クリニックでも花粉症の患者さんを診察することが多くなりました。
今年は昨年の2倍ほど花粉が飛ぶようですね。
花粉は目や鼻の症状だけでなく、皮膚炎を起こすこともあります。
昨今では花粉の飛散状況をニュースやインターネットで簡単に調べられるようになりました。
ぜひ上手に利用してみてください。

さて、今回は「乳児の脂漏性湿疹」についてお話しようと思います。

生後1カ月もしくはもう少し前から顔に赤く、時に黄色のニキビのようなボツボツが出来たり、頭に白いフケの様なカサカサ、黄色のかさぶたが出来る症状です。

少しずつ範囲が広がってくることが多く、放置しているとどんどん症状が強くなってくることもあります。

時にかゆみもあり、お子様によっては爪でひっかいて傷が多く出来ていることもあります。

これは、月齢的に生後1カ月ごろから皮脂の分泌が高まり、かつ皮膚がまだとても薄く、弱いために発症する皮膚炎で、長いと1歳ごろまで持続することもあります。

皮膚は主に皮脂腺から出てくる皮脂、角質、天然の保湿因子などによりバリア機能を形成しています。
脂漏性皮膚炎はこの皮脂自体が原因の一つでもあります。
ただ、皮脂だけが悪さをしているのではなく、汗や空中を舞っているダニやほこり、この時期であれば花粉といった避けることの出来ない環境因子も皮膚へ浸入していくことで症状が現れます。

よってこれらの刺激が皮膚に侵入しないように、頻繁に保湿剤で保護をすることも大事なケアーです。

また、皮膚が弱く、薄い赤ちゃんでもわずかながらバリア機能は出来ています。
しかし、石けんやガーゼなどで皮膚を洗うとこれらを壊してしまいます。
また、皮脂を落とし過ぎると、皮膚は反応性に皮脂を沢山分泌するとも言われています。
よって、頭皮、体を洗う際はお湯で洗い流す、もしくは湯船で軽く皮膚を撫でる程度で良いでしょう。

また薬の使い方も重要です。
保護者の方によっては、炎症を抑える薬はひどい時だけ使っている方もいらっしゃるのですが、皮脂や汗は毎日分泌されていますし、環境因子はいつでも刺激しています。
そういう意味では、薬を自己中断すると、また直ぐに湿疹が出てくるのです。

ここ最近は「プロアクティブ療法」という方法が提唱されています。
これは、湿疹がひどい時は処方された薬を次の受診まで毎日続けます。
そして、再診した際に医師の判断により、薬をつける頻度を下げたり、薬の強度を下げたりする方法です。

また、薬の適量もあり、これを守らないと薬の効きはあまりよくありません。

薬を使うことに不安や抵抗を感じる保護者の方も多いことと思います。
薬の使い方、薬の適量、使う期間など、診察時に詳しくお話しいたしますので、定期的に診察していただくことをお勧めいたします。