2018/04/11
院長日記
金属アレルギー
4月もあっという間に10日を過ぎました。
今年は桜が早い段階で散ってしまい、お花見を楽しむ暇さえありませんでした。
さて、今回は「金属アレルギー」についてお話しします。
ここ最近金属アレルギーの方が増えているそうです。
なぜならば、おしゃれのためにアクセサリーをつけることはもとより、ありとあらゆる所で金属に接することが多いからだそうです。
そもそもなぜ金属に対してアレルギーを持つようになるのでしょうか。
原因は接触している金属が皮膚内部に入り込み、その際に皮膚内部で異物が入ってきたと勘違いすることから始まります。
金属がなぜ皮膚に入り込むのかと言えば、
まず一点は金属が接している部位に汗をかくと、汗自体が金属を溶かし、皮膚内部に入ることが挙げられます。
その他、ピアスなどピアス穴がきちんと開いていないと、傷ついた部位から金属が入り込んだり、歯科での詰め物が唾液で溶けて体に入り込むからです。
1回や2回こういうことが起こってもアレルギーになる危険性は少ないのですが、何度も繰り返し金属が入り込むと、アレルギーを持つようになると言われています。
原因を起こす金属は比較的限られており、コバルト、ニッケル、クロムが知られています。
これらはアクセサリーの合金や歯科の詰め物、時計のバンドやベルトのバックルなどに使われています。
また、クロムは革製品や塗料などにも使われていますので、金属は普段身につけてなくても、時計のバンドが革だったり、お仕事上で接していることも少なくありません。
その他、食べ物の中にも微量の金属が含まれていますので、金属を多く含む食品を沢山食べたり、安価な調理器具を使用することで、料理中に食物に入り、知らず知らずのうちに摂取して体内に入っている場合もあります。
金属アレルギーによる皮膚炎は金属の接している部位だけに症状の出る「接触性皮膚炎」と全身にブツブツの出る「全身型金属アレルギー」があります。
前者の「接触性皮膚炎」は接している部位のみ、赤みやブツブツが出る症状で診断は比較的容易です。
後者の「全身型金属アレルギー」は接している部位ではなく、手足や四肢のみに赤く小さいブツブツが出たり、全身に出ることもあります。
この「全身型金属アレルギー」はなぜ手足もしくは全身に出てくるのか・・。
それは、体に入った金属は主に汗と一緒に外に排出されるのですが、汗を出す管が上手く皮膚の外に出せない状態になると、汗が真皮内にたまってしまうため真皮内に金属が漏れ出てくることでブツブツと湿疹が出てくると言われています。
特に手足は皮膚が他の部位よりも厚く、汗が出にくい部位です。
よって全身に出る方ももちろんいらっしゃいますが、手足に限局することも多くあります。
「全身型金属アレルギー」の治療は湿疹の出ている部位へステロイドを外用したり、抗アレルギー剤を内服します。
しかし、効果のない方は微量の金属を含む特定の食べ物を多く摂取していないか問診の上、該当する食べ物を多く摂取していると判明すれば、1日に該当する食品の食べる量を少なくしていただくこともあります。
これから汗を沢山かく季節になります。
金属によるトラブル、皮膚炎はこの時期に多くなります。
局所的に出る金属による「接触性皮膚炎」は薬を外用し、かつ原因と思われるアクセサリ-などを身につけないようにすることで、症状は速やかに改善します。
しかし、「全身型金属アレルギー」は一筋縄ではいかないこともしばしばあります。
中々治療が奏功しない場合は検査をしたり、生活指導なども必要になります。
地道に治療をしなくてはならない疾患の一つですので、皮膚科できちんと治療を受けることをお勧めします。