2019/03/04
院長日記
風疹について
本当に3月??と思うほど、ここ数日気温が下がっています。
先日の東京マラソンでは寒さで完走できなかった方が続出したとのこと。春はどこへいってしまったのでしょうか。
さて、ここ最近風疹の患者さんさが爆発的に増加していることはご存知かと思います。
ウィルス性感染症で特に感染力が強く、時に重篤化する可能性のあるものについては、現在では予防接種をすることで感染を抑えようという取り組みがされています。
しかし、昔は予防接種自体がなかったり、年代によっては予防接種はしているものの1回しか接種していない、もしくは1回も受けていない可能性があります。
具体的には平成2年4月2日以降に生まれた方は公費で風疹ワクチンを2回接種する機会がありました。
しかし、女性では昭和37年から平成元年に生まれた方、男性では昭和54年から平成元年に生まれた方は予防接種を受けていても1回のみ。昭和54年以前に生まれた男性は1回も予防接種を受けていません。
予防接種がなかった時には、学校などの集団生活上からか家族から感染して、自身も発症したり、もしくは「不顕性感染」といって感染しても症状が軽かったり、症状自体が出ずに免疫を得ていました。
しかし、予防接種が普及してからはウィルス感染患者が減り、集団生活や家族から感染することが減りました。
このために予防接種は受けたものの1回しか接種しておらず、もしくは接種しそびれており、風疹に対する免疫がついていなかった方が、風疹の流行している海外などで感染し、帰国後に発症。これにより爆発的に患者が増加したと言われています。
風疹に感染すると、2、3週後に高熱と全身性の発疹、リンパ節の腫脹が見られます。
年齢が上がるほど、症状は重篤化するとも言われています。
また、妊娠初期(20週以前)の女性が風疹に感染すると、胎児にも感染し、赤ちゃんが「先天性風疹症候群」になる可能性もあります。「先天性風疹症候群」とは、難聴、白内障、先天性の心疾患を持って生まれてくることです。
よって妊娠前であれば、風疹ワクチンが未接種でかつまだ風疹にかかったことがない場合は予防接種を受けることをお勧めします。
妊娠されている方は風疹ワクチンを接種することが難しくなります。
妊娠された後に風疹の抗体価が低いと判明した場合は担当の医師に予防接種を受けれるかどうかを相談してください。
そのほか、風疹が流行っている地域では不要不急の用事以外は外出しないようにしたり、人混みには行かないように気をつけましょう。
さて、厚生省では風疹の対策として風疹ワクチンを1回しか受けていない男性、すなわち昭和47年4月2日から昭和54年4月1日生まれの方に対し、原則無料で抗体価検査を実施し、かつ抗体が陰性の場合は原則無料で予防接種を実施するよう、各自治体に通達してます。
それ以前の昭和37年4月2日から昭和47年4月1日生まれの男性についても、市町村に希望すれば受診券を発行し、抗体検査を受けらます。
昨年の10月ごろから千葉県で水ぼうそうのお子様を診ることが増えました。
予防接種が普及していても、接種し忘れていることもあるでしょう。
もちろん、予防接種を受けたとしても、回数が少なかったり、きちんと回数を受けても免疫がつかないこともあります。
今一度お子様の母子手帳を見て、予防接種歴をご確認ください。