2019/04/24

院長日記

顔面部皮膚炎

顔面部に繰り返し繰り返し赤みやかゆみが生じたり、皮膚の乾燥が強く、お化粧のノリが悪くなったり、ニキビのような赤いボツボツが出来たり、赤く腫れたりする症状。

「顔面部皮膚炎」は女性にとって本当に辛い皮膚炎です。

もともとアトピー性皮膚炎がある方も、そうでない方にも生じる可能性のある比較的身近な皮膚炎です。

「今まで皮膚は強い方だったのに、どうして急に出てきて治らないのですか?」と聞かれることもよくあります。

皮膚科の疾患に限らず、どの疾患も急に出てくることは大いにありますが、特に顔面部の皮膚炎に関しては、普段行なっている「スキンケア」が長年にわたって繰り返された結果、出てくることも多いにあります。

女性が必ずといって良いほど毎日行なっている基礎化粧品での「スキンケア」。

お化粧を落とすためのクレンジング、洗顔料、化粧水、乳液、美容液などなど。これらには皮膚の「バリア機能」を全て破壊しています。

基礎化粧品には「界面活性剤」が入っています。

これは皮膚になじみをよくするためと基礎化粧品に有効成分を均一に混ぜるための成分なのですが、これが「バリア機能」を破壊して、有効成分を皮膚内部に入れようという性質があるのです。

もちろん、メイクをしたらそれを落とす必要はありますが、クレンジングでメイクを落として、まだ洗い足りないと洗顔料を使用すれば、メイクだけでなく、皮膚に必要な「バリア機能」を更に落としさり、

かつ化粧水、乳液、美容液を使用すれば更に「バリア機能」を破壊します。

ちなみに美白、ハリ感を持たせる効果、毛穴を引き締めるなどなど色々な効果を出せると言われている基礎化粧品にはそれだけ色々な成分が入っていることになり、皮膚に外的な刺激をたくさん入れていることと同じです。

また、弱った皮膚には空中を飛んでいるダニ、ホコリ、花粉、ペットなどの毛やフケなどの刺激も素通りして行きます。

こういった間違ったスキンケアを長年繰り返したことが、顔面部皮膚炎を引き起こした可能性が高いのです。

では、良いスキンケアというのは具体的にどのような方法でしょうか。

顔を洗う際には、朝はぬるま湯で流すだけ。夜はメイクをしているのであれば、クレンジングジェルやクリームを少し多めに使い、皮膚をこすらないようになじませて、洗い流します。

洗顔料は使いません。

顔を洗った後のスキンケアは保湿剤を一つだけにし、なるべく皮膚をこすらないようにしましょう。

どんな保湿剤が良いかは人それぞれですが、なるべく有効成分がたくさんのものよりも、シンプルなものが良いでしょう。

わからなければ、皮膚科の医師に質問してください。

メイクをする場合ですが、保湿剤を塗った後に低刺激の日焼け止めを塗り、パウダータイプのミネラルファンデーションで仕上げると良いでしょう。

ミネラルファンデーションも低刺激の日焼け止めも、石鹸だけで落とせるものが多く、メイクを落とす際に皮膚の負担が軽減できるという利点もあります。

リキッドファンデーションやBBクリームといった液体タイプのものは色素を液体成分に均一に混ぜるために「界面活性剤」を使っていますので、極力控えた方が良いでしょう。

「顔面部皮膚炎」を起こすと、ストレスも大きくなります。ついつい、隠したくてメイクを厚めにしてしまうこともあるでしょうし、早く治したいと思うでしょう。

しかし、治すためには今までのスキンケアを大きく変えなくてはならないこともありますし、一筋縄では改善しないこともあります。

途中で治療を諦めたり、言われるがままに色々な民間療法を試してひどくなる方もいらっしゃいます。

治るまで長く時間がかかることをご理解いただき、1歩1歩治して行きましょう。