2020/01/15
院長日記
令和2年のご挨拶・「しらみ」について
2020年が明けました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
今年は温暖なようで、スキー場では深刻な雪不足。
そして2月中旬に行われる「札幌雪まつり」も雪が少なくトラックで雪が運ばれる様子をニュースで見ました。
温暖化は確実に進んでいるのですね。
海外でも東オーストラリアでの山火事が拡大している様子。
日本だけでなく、年々必ずやどこかで深刻な自然災害が起こり、終息するというよりもかなり深刻化して行くようで、人ごとでは片付けられません。
さて、今回は「しらみ」についてお話しします。
「しらみ」の中でも人に感染し、病的な症状を示すのは「アタマジラミ」「毛じらみ」「衣じらみ」です。
「アタマジラミ」は頭髪に感染。
「毛じらみ」は生殖器や脇の毛に感染。
「衣しらみ」は衣服のみに感染し、吸血するときのみ皮膚に出てきます。
アタマジラミは幼児、小児に見られることが多く、幼稚園のお昼寝の時間に寝具を共にしたり、帽子を共有することで感染します。
「毛じらみ」は性感染症の一つで、毛じらみが寄生した人との濃厚な接触で感染します。
「衣じらみ」は湿度の高い密室や倉庫などに衣服を置いておくことで寄生、その後しらみに気づかずに服を着ることで感染します。
「アタマジラミ」「毛じらみ」「衣じらみ」も初感染の場合はすぐにはかゆみを生じません。
何故ならば「しらみ」は吸血する際に少量の唾液を皮膚に注入しますが、はじめはその唾液に対して体は何も反応しないのです。
何回か吸血することでこの唾液に対するアレルギーを生じてから、かゆみが出るのです。
そういう意味では、
「しらみが流行っています」という連絡をもらった場合は
「かゆみがあるかどうか」ではなく、
「お子様の頭髪に白い光沢のあるフケのような物がついていないか」、
そして「フケが払っても取れない」ということであれば、すぐに皮膚科を受診した方が良いでしょう。
「アタマジラミ」や「毛じらみ」の治療方法は「ピレスロイド製剤」である「スミスリンパウダーシャンプー」を使います。
このシャンプーは卵には効果はなく、成虫のみ駆除ができます。
よって1回シャンプーをしただけは根治できず、1回シャンプーを使用したら、2日置きに3~4回シャンプーをして完全に駆除をする必要があります。
また、寝具を共にしているご家族も念のため一緒に治療しましょう。
さて、「アタマジラミ」に感染することで、登校や登園を拒否されたり、
「不潔にしているから」という間違った考えからいじめにつながることもあるそうです。
「アタマジラミ」も「毛じらみ」も人から離れて吸血ができない状態になると、かなり活動が弱くなり、2日ほどで死滅します。
熱にも弱く、布団や枕帽子など感染につながるものを日干ししたり、乾燥機で熱を加えたり、掃除機などで吸ってしまえば、生きながらえることはありません。
また、きちんと頭を洗っていても、何らかの影響で感染が起これば、通常の洗髪では除去できません。
よって、決して不潔にしているというわけではありません。
適切な治療をすれば、きちんと治せる疾患ですので、疑いのある場合は躊躇せず、皮膚科へ受診してください。
昨年も混み合う状態が続きました。
昨年より完全な2診察体制にし、混雑の解消を図ってはおりますが、待ち時間が増えていますことお詫び申し上げます。
本年度も、患者さんの訴えを「よく聞き」症状を「よく診て」わかりやす言葉で「説明」することを心掛けて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。