2020/02/19

院長日記

緑膿菌による毛嚢炎

コロナウィルス感染症が猛威を奮っています。

この脅威はいつまで続くのでしょうか。

WHOでは「SARS」や「MARS」よりは致死率が低いとは発表していますが、

続々と感染された方が増え、お亡くなりになった方もおり、重症化されいる患者さんもいらっしゃる状況は未だ変わらず。

混乱や不安でお過ごしの方も多いかと思いますが、

現時点では、感染予防を徹底すること。

疑われる症状が出た場合の対処は「厚生労働省」のホームページから検索でき、各自治体ごと連絡先が設けられていますので、ご参照ください。

 

さて、今回の院長日記は「緑膿菌による毛嚢炎」についてお話しします。

「緑膿菌(りょくのうきん)」とは、もともと自然の中に住み着いている菌の一つです。

人間の皮膚や消化管にも常にくっついており、これを「常在菌(じょうざいきん)」と言います。

この「緑膿菌」が何らかの影響で病原性を持つと、様々な感染症を起こしますが、

皮膚科的に代表的な疾患の一つが「緑膿菌性毛嚢炎」です。

症状は腹部や太ももなどの毛穴に一致した赤くて時に膿を持ったぼつぼつ(丘疹)が出来、

痛みを伴ったり、軽度の痒みがあります。

1箇所できたと思ったら、少しずつ増えてきたり、腫れ上がって痛みが強くなる場合もあります。

 

原因は皮膚の免疫力が下がっていたり、

抗生剤を頻繁もしくは長期に飲むことで皮膚にくっついている緑膿菌が強くなり、病原性を持ってしまうと発症します。

 

治療は抗生物質の外用や内服を行いますが、

あまりにも腫れが強く痛みがある場合は局所麻酔をして切開することもあります。

 

なお、「水ぼうそう」と鑑別が必要な場合もあります。

その場合は「皮疹の範囲」や「一つ一つの皮疹の様子」「急激に広がってきたかなどのエピソードがないかどうか」が診断の決め手になります。

 

比較的ご家族内で同じ症状が出ることもあります。

家族内発症は、毛穴で増殖した緑膿菌がタオルやお風呂など直接触れることで感染し発症すると考えられています。

その他、24時間風呂、塩素濃度の低いプール、体を洗うスポンジやタオルなどでも感染することがあります。

 

ちなみに体にできる毛嚢炎の全てが「緑膿菌」が原因なのではありません。

「黄色ブドウ球菌」「マラセチア」「アクネ菌」「ニキビダニ」などなど、様々な菌、カビなどが原因になります。

ただ、「緑膿菌」と「黄色ブドウ球菌」が原因の毛嚢炎は痛みや腫れが強くなる傾向があります。

早く治療を開始することで、痛みや腫れが強くなる前に炎症を抑えることもできますので、疑われる症状が出た場合にはなるべく早く皮膚科を受診ください。