2020/03/19

院長日記

コロナウィルス感染予防対策・「薬疹」について

三月も下旬になりました。

コロナウィルスが全世界的に猛威をふるい、日本でもまだ感染者、亡くなられた方が増加しています。

当院でもコロナウイルスの感染拡大を防止するために皆様にご協力をお願いしております。

ご確認をお願いいたします。

(1)発熱のある方が受診される際には事前にご連絡をください。

(2)咳や鼻水等の症状がある方はマスクを着用してください

(3)診察を受ける患者さんに付き添われる方はなるべく最小限に留めてください。

(4)アイチケットを利用していただき、待合室での待ち時間を減らすようお願いいたします。

 

さて、今回は「薬疹」についてお話します。

「薬疹」とは、アレルギーのある薬を飲むことで、皮膚に炎症を起こす状態を言います。

「薬疹」の症状にも様々な状態があります。

例えば、体の一部のみにあざのような斑が出るタイプ。

全身性に蕁麻疹のような赤みの強い紅斑が出るタイプ。

小さなブツブツが全身性に出るタイプや慢性湿疹と区別がつかないような皮膚炎を起こすタイプ。

時には全身性に水疱や火傷のような症状が出て、命の危険も伴うようなタイプもあります。

 

さて、私たち皮膚科医はどういった状況の皮膚炎の場合「薬疹」を疑うのかというと、

・湿疹が左右対称性にほぼ全身性に出ている場合

・皮膚炎のきっかけなどが思い当たらない、原因不明の皮膚炎の場合

・何らかの薬を飲んでいる(漢方薬やサプリメントも含める)場合

・急に皮膚炎が出現し、急速に拡大している場合

です。

 

「薬疹」はアレルギーのある薬が原因ですから、その薬を飲み続ければ皮膚の症状はどんどん悪くなります。

それに気づかず、薬を飲み続けるのは危険です。

よって、どの薬にアレルギーがあるのかを突き止めることが必要になります。

 

検査の方法は、

採血をして突き止める「DLST」という方法。

疑われる薬剤を粉々にして基剤と混ぜ、患者さんの皮膚に貼る「パッチテスト」。

実際に疑われる薬剤を飲んでもらう「内服チャレンジテスト」という検査があります。

しかし、「内服チャレンジテスト」は全身症状をきたすような薬疹では命の危険が伴います。

また、採血の検査「DLST」は検査の信用率があまり高くないことから、検査をして「陰性」と出たとしても実はアレルギーを持っている場合もあります。

 

これらのことから、薬疹が疑われた場合に診断の決め手となるのが、

・薬疹を起こしやすい薬剤を飲んでいないか。

・またその薬をいつから内服しているか。

という情報です。

 

薬疹を起こしやすい薬は

・抗菌剤・消炎鎮痛剤・抗けいれん薬・高血圧の薬・検査で使用する造影剤など

です。

これらの薬を「いつから飲んでいるのか」「いつ飲んだのか」

これによって薬疹の原因をある程度絞ることができます。

 

ちなみに「薬疹」は初めて飲んだ薬で生じることはほとんどありません。

何故ならば、何度か薬を飲むことで体が受け付けなくなった状態だからです。

 

薬疹の原因の一つである「消炎鎮痛剤」は手軽に薬局で購入することができます。

一旦アレルギーになると、今後も同じ成分の薬は飲めません。

薬の商品名が違っても薬の主成分が同じ場合もありますし、鎮痛剤ではなく「風邪薬」の中に含まれている場合もあります。

よって自分がどの主成分の薬がダメなのかをきちんと把握し、薬手帳やスマホ、携帯などにメモをしておきましょう。

そして、薬局で薬を買う時にはアレルギーのある薬の主成分が入っていないかを確認する必要があります。