2020/05/25

院長日記

異汗性湿疹(いかんせいしっしん)について

緊急事態宣言が解除される事になりましたが、段階的に少しずつ緩和していくとのこと。

油断は出来ない状態が今後も続きそうですね。

報道では今までと全く同じ生活に戻れるようになるまでにはまだまだ時間はかかると言われていますし、

第二波、第三波も来るだろうと予想されてもいます。

私達スタッフ一同、この状況を踏まえつつ、日々の診療を続けて行きたいと思います。

患者さんにおかれましても、以前お話しした以下の内容を今後もご理解頂きたく、お願い申し上げます。

再度以下に明記させて頂きます。

⑴発熱や風邪症状のある方が受診を希望される場合はあらかじめ当院にご連絡をお願い致します。

⑵受診される患者さんに付き添われる方はなるべく最小限の人数でご来院ください。

⑶受診される際には極力マスクの着用をお願いいたします。

⑷受診される際にはアイチケットをご利用いただき、当院での待ち時間を極力減らすようお願いいたします。

 

さて、今回はここ最近かなりの割合で診察する疾患「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」についてお話しします。

異汗性湿疹はその他の疾患名として「汗疱(かんぽう)」とも言います。

多くは手指や足趾や手掌足底に現れる赤いボツボツで、比較的痒みを伴うことが多いです。

ひどくなると、ボツボツが広がっていき、腕や下腿部にも拡大します。

あたかも感染症?と心配されることもあります。

 

これは、汗の管が汗を出せない状態になると発症します。

汗を出せなくなるとはどういう事?

実は汗の管は冬の間はその機能を弱めてしまう事があるのですが、暑くなると体温調節をすべく汗が産生されて来ます。

しかし、汗を出す機能が落ちていると、皮膚の外に汗を出せなくなります。

汗は皮膚の内部にとどまり、炎症を起こすようになるのです。

 

今年は何故この症状が多いのでしょうか。

おそらく自粛が続き、身体を動かす機会が減り、汗を出す機能が弱っている方が多いことも一つの要因なのではないかと思います。

もちろん毎年この初夏には割と多い症状ではありますが、去年の同じ時期に比べると多い印象を受けます。

 

さて、治療はステロイドの外用と痒みや炎症が強い状態であれば、抗ヒスタミン剤の処方もします。

また、汗の管の機能をアップさせる為に、ウォーキングなどの運動やお風呂に入って汗をじっとりかいてもらったり、水分補給も心がけていただくと良いでしょう。

 

時にこの症状は全身性に出ることもありますし、治療をしても改善しない場合もあります。

こういった場合には、汗の管の機能不全の他に金属アレルギーによることもあります。

また、手足口病と似た症状でもあるため、鑑別も必要です。