2021/01/27

院長日記

アトピー性皮膚炎注射薬「デュピルマブ」の医療費について

コロナウイルスに対するワクチン接種が諸外国で開始され、日本でも大手2社のワクチン接種が可能になるとのこと。

なんでもマイナス70度で保管が必要とのことで、急ピッチで特殊な冷蔵庫の製造と検品が行われているとのこと。

緊急事態宣言も今後どうなるのか・・・。

延長になるのか、解除されるのか。

とは言っても、感染者は少し漸減してもまた増えるを繰り返し、

都内では相変わらず人出は多く、電車も普通に混雑しています。

そして、何と言っても深刻なのは、病床の逼迫により、重症患者さんでも入院が出来ない、もしくはその他の重篤な疾患の患者さんも治療が出来ないと言った状況が続いています。

私たちが出来ることは、とにかく「感染しないように十分注意、気を引き締めて行動をする」ことに尽きます。

 

さて、前回お話ししたアトピー性皮膚炎の注射薬について、

今回は注射に関わる医療費についてお話しします。

デュピルマブ(商品名: デュピクセント)は高額な薬ですので、

ご自身の1年間の収入に応じて負担する料金を抑える制度を利用することができます。

具体的には健康保険組合に申請をすることで制度を利用できます。

デュピルマブは初回2本、その後は2週間置きに1本ずつの投与します。

注射薬の1本の値段は自費で66356円です。

3割負担の方ですと、1本19907円になります。

初回は2本注射しますので、2本で39814円です。

ご自身の健康保険組合に申請し、証明書が発行されると、病院や薬局に提示することで、限度額以上のご負担は無くなります。

よって高額な治療であっても安心して治療を受ける事が出来ます。

 

デュピルマブ(商品名:デュピクセント) は元来の内服薬や外用薬でも中々効果が出せず、半ば治療を諦めてしまわれたり、忙しくて頻繁に薬を取りに行けず症状がひどくなってしまいがちという方には適しているでしょう。

注射は初回はもちろん、それ以降のおおよそ3回目までの注射は病院でさせていただき、それ以後の注射はご自宅でご自身でしていただく事も可能です。

なぜ、初回やおおよそ3回までは病院で注射をするかというと、

注射の手技を指導する必要があるからと、

注射後に何かトラブルが出ないかを病院で観察する必要があるからです。

 

アトピー性皮膚炎は日中はもちろん睡眠中も痒みに悩まされたり、慢性的な皮膚症状が気になって、外出もままならないという方もいらっしゃいます。

アトピー性皮膚炎の原因は「サイトカイン」という物質が体内に異常に増殖し、かゆみのもとである「ヒスタミン」を異常に排出したり、アレルギー反応を増強させたり、皮膚のバリア機能を低下させます。

「デュピルマブ」はこのサイトカインの異常増殖を止める役割があり、

従来の治療法である、内服薬や外用薬、かつ紫外線療法の全てをカバーできるといっても良いかもしれません。

 

治療をしてみたい、お話しだけでも聞きたいという患者さんは診察の際に医師にご相談ください。