2021/02/28
院長日記
つらい手荒れ・・・ハンドクリームの選び方
緊急事態宣言が1ヶ月延長され、早1ヶ月になろうとしています。
首都圏も3/7に解除されるかどうか、未だ不明な今日この頃です。
感染者はかなり減少しましたが、春の陽気に誘われてか、日中の都内の人出は例年通りに戻ってきている感じです。
変異ウィルスによる感染者もちらほら出ているようで、個人的にはまだまだ油断を許せない状態ではないかと感じております。
さて、今回は「手荒れ」についてお話しします。
かなり前にもお話ししている「手荒れ」ですが、コロナ感染予防で手洗いとアルコール消毒を頻繁にするようになったここ1年では、今まで「手荒れ」を起こしたことがなかった方までもひどくなり、皮膚科に受診されるようになりました。
市販の薬では全く改善しません・・・
アルコール消毒が痛くてたまりません・・
そもそも、手荒れを起こす原因は石鹸とアルコールが皮膚のバリア機能(皮膚を守るための膜)を溶かしてしまうため、常に外気に皮膚の水分が奪われるようになることと、空気中に浮遊する物質、アルコールや石鹸家庭用洗剤など手の皮膚に付着する色々な物質が皮膚に侵入し、炎症を引き起こすからです。
また、お子様は手を洗った後に水分が残ったまま自然乾燥させてしまうことも多く、さらに気化熱が発生することで皮膚の水分が奪われます。
小さなお子様の手背がカサカサで、見るに痛そうな患者さんをたくさん診ます・・・。
感染予防で手洗いも消毒も欠かせないこの状況下で手荒れを治すには、
手を洗い、消毒をした後に毎回ハンドクリームをつけ、石鹸やアルコールで溶けてしまった皮膚のバリア機能を人工的に作り上げることがとても重要です。
ハンドクリームはべたつくのが嫌だな・・と思っている患者さんもいらっしゃるかと思います。
実はすべてのハンドクリームがべたつくわけではありません。
ハンドクリームとして販売されているクリームにも色々ありますが、
クリームには
皮膚の外側に油の膜を作り、内部に水を閉じ込める製剤(油中水滴型)と、
皮膚の外側に水の膜を作り、内部に油を閉じ込める製剤(水中油滴型)に分けられます。
「油中水滴型」は少しべたつく感時がありますが、しっとりした感じを好まれる方はこちらの方が良いかもしれません。
逆に「水中油滴型」は塗った後も、皮膚はサラサラしており、何か触ってもベタついたりする感じがありません。
ただ、実際にどちらのタイプのクリームなのかはハンドクリームのパッケージに書いてはいないので、試供品を使ってみることをお勧めします。
ちなみに「ワセリン」は「鉱物油」です。水分を含んでいないので、皮膚に馴染むというよりも、皮膚の上に乗っかっている状態ですので、保湿力はクリームよりも格段に高いのですが、かなりベタベタします。
さて、適切にハンドクリームを選んでも、ハンドクリーム自体を塗ることでヒリヒリしたり、痒くなる、手荒れが治らない状態であれば、皮膚科を受診してください。
手荒れは私たちのQOLを著しく低下させます。
「痛くて家事ができない」、「痒くて眠れない」、「手荒れがひどくて恥ずかしい」という方も沢山いらっしゃいます。
皮膚科で適切な治療や生活指導をすることで、手荒れを治すことは出来ます。
「手荒れだけ」だと侮らないで、どうぞいつでも皮膚科にご相談ください。