2021/03/29

院長日記

「魚」が原因で起こる蕁麻疹

今年もあっという間に桜が散り始めました。

満開になるのも、満開の花を愛でるのも、散ってしまうのも、とても早い・・。

春の天気は変わりやすく、荒れやすい。

最近は温暖化のせいか、入学式シーズンではなく、卒業シーズンに満開になることが多い気がします。

 

さて、今回は「魚」が原因で出現する蕁麻疹についてお話しします。

「さば」にアレルギーがあると認識のある方もいらっしゃるかと思います。

 

「カジキマグロ」「マグロ」「ブリ」「さば」「さんま」などの赤身の魚には「ヒスチジン」と呼ばれるタンパク質が多く含まれています。

これが体の中に一定量入ると「中毒症状」として蕁麻疹が出たり、下痢や嘔吐症状が出る場合があるのです。

 

ちなみに、「さば」にはアニサキスという寄生虫が住み着いてることがあります。

時にさばではなく、「アニサキス」によるアレルギーで蕁麻疹などの症状が出る可能性もあるのです。

よってアニサキスが寄生する魚「さば」「アジ」「イワシ」「イカ」「さんま」「さけ」を「生」で食べた後に蕁麻疹やアナフィラキシーが出たという場合は、これらの魚介類の検査だけではなく、「アニサキス」に対してもアレルギーがないかを検査します。

 

ちなみにアニサキスは魚の内臓に住み着いています。

寄生している魚が死んで、時間が経過すると内臓から筋肉に移動します。

よってアニサキスに注意するためには

・新鮮な魚を買うこと、

・購入して時間が経ったものはお刺身として売られていたものでも火を通すこと。

・内臓は生で食べないこと。

が大事です。

 

これらを通して考えると、

「さば」アレルギーがあるという方は、アニサキスにアレルギーがあるか、さばを一定量食べてしまうことで出現する「中毒症状」という可能性もあります。

 

では「魚のアレルギー」はどんな魚に多いのか。

「アカウオ」と呼ばれる魚にアレルギー症状を起こすことが多いと言われています。

この種類の魚は「パルブアルブミン」と呼ばれる特殊な蛋白を多く含んでいます。

この蛋白は他の魚にも含有されているのですが、「アカウオ」は他の魚よりも多く含んでいます。

よって微量だけこのタンパクを含む魚を食べても問題ない方でも、「アカウオ」で蕁麻疹が出る方もいます。

「アカウオ」とは代表的なものであると「メバル」です。

アニサキスによるアレルギーと違って、加熱処理をしても「パルブアルブミン」は魚に残存していますので、加熱をしたから大丈夫とか十分火を通せば大丈夫というわけではありません。

 

最近は食物アレルギーを持つ方が増えていると思います。

時に原因が不明で何を気をつければ良いのかわからないという方もいらっしゃいます。

そういう場合には徹底した問診をし、どうしても判明しなければ食物日誌や生活の記録をつけてもらってあてをつける場合もあります。

時に「食べた」だけでは症状が出ず、

「食べた後に特定の薬を飲んだ」

「食べた後に運動やお風呂に入った」場合に出る疾患もあります。

 

特に気をつけなかればならないのは、蕁麻疹が全身に広がり、呼吸困難や嘔吐や下痢、意識消失を起こしたことがあるという場合です。

もちろん今まであまりひどくなかった方もアレルギーのある物を知らずに食べ続けて、重症な症状が出る場合もあります。

最近、特定の物を食べると、なんだか痒くなるな、蕁麻疹が出るな、口の中の違和感があるな・・気持ち悪くなったり、下痢などの症状があるな・・という場合にはアレルギーを疑って医師の診察を受けた方が良いかもしれません。