2021/08/30

院長日記

行楽シーズンは「マダニ」に注意!

今回は「マダニ刺虫症」についてお話しします。

暑い夏が終わると、行楽シーズンになります。

登山やトレッキング、グランピングなどの野外活動が増える時期になりますね。

今回お話しする「マダニ」はまさに野外に生息しており、主に野生動物に寄生して吸血するのですが、野外で活動している人にも吸血します。

 

ダニと一概に言っても、色々な種類があります。

家の中で刺される「ダニ」は「ツメダニ」や「イエダニ」と呼ばれるダニで、布団やカーペット、ソファーなどに潜んでおり、夜間になると主に体の柔らかい部位を刺します。

特に、湿度や温度の高い梅雨~夏に活動を高めるので、この時期は比較的他の季節に比べると刺されて被害にあうことも多いかと思います。

 

「マダニ」は主に林や山の中、河川敷などの植物に付着しています。

そして、人や動物が通ると身体に飛び移り、吸血できる場所を探して皮膚を動き回り、適切な場所が見つかると口を皮膚の表面に埋め込み、吸血します。

吸血は数日続き、満腹になると皮膚から脱落します。

 

マダニに刺された部位は自覚症状はほとんどなく、従ってマダニの腹部が膨れて大きくなった時に気づくことが多いようです。

マダニの口は棘のように尖っており、その口を皮膚内部まで埋め込んで吸血します。

よって自分でマダニを取ろうとしても口の部分だけ残ってしまうことがあります。

口が残ると、チクチクした違和感が残ったり、異物反応を起こして肉芽種ができることもあります。

よって、刺された場合には自主的に取るのではなく、皮膚科を受診して治療を行なった方が良いでしょう。

 

また、「マダニ」の体に生息する病原体が原因で全身的な症状が出る場合もあります。

数年前にマダニに刺された女性が数週間後に亡くなったというニュースは記憶に新しいかもしれません。

これはマダニが保有する病原体が刺されることで体に入り、全身的な症状を起こすのです。

しかしながら、病原体を保有する確率はとても低く、過剰な心配はいりません。

万が一刺された後に急に高熱が出て、全身に赤い発疹が出たり、下痢や嘔吐などの消化器症状が出た場合はなるべく早く医療機関を受診してください。

 

さて、マダニの被害にあわないようにするために重要なポイントについてお話しします。

林や山の中、河川敷で数時間過ごす場合は長袖長ズボンを着て、なるべく肌の露出は避けましょう。

また虫除けスプレーも適切に使用しましょう。

市販されている虫除けはディートとイカリジンがありますが、いずれの成分もマダニには効果があります。

どうしても洋服でカバーできない首筋や手にはしっかりと皮膚に塗り、

また服の上からもスプレーしたり、靴下とズボンの間にも塗っておくことをお勧めします。

少しでも塗り残しがあると、刺されてしまいますので、要注意です!