2021/12/08
院長日記
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)と全身疾患について
今回は前回お話しした「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)以下、乾癬(かんせん)」について、もう少し詳しくお話し致します。
乾癬は皮膚の生まれ変わりが極端に早くなることで、皮膚の一部が赤くなり、その赤みの上にカサカサとした鱗屑(りんせつ)が付着した皮膚炎です。
圧迫される場所に多く見られるため、腰や肘、膝頭に出来る事が多く、かつひどくなると全身性に皮疹が見られます。
乾癬の原因は未だ不明な事が多いのですが、体内に「サイトカイン」と呼ばれる本来ならば身体を守ってくれるはずの物質が異常に増えて、皮膚に炎症を引き起こすと言われています。
また、皮膚だけではなく、全身的な症状も併存することも多く知られています。
乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
乾癬患者さんの約15-20%に見られます。
手の指の関節や鎖骨(首の根元にある左右対称性に存在する骨)、胸骨(胸の真ん中にある骨)、背骨、坐骨(座ると椅子にぶつかる部位の骨)などに痛みや腫れが出る症状です。
乾癬の患者さんはまさか乾癬の併存症とは考えず、整形外科で治療を行われる方もいらっしゃいます。
抑うつ(よくうつ)
乾癬の皮疹が露出部にみられるとストレスフルとなり、QOLが障害されることにより精神的に抑うつ症状となる方もいらっしゃいます。
成人病
乾癬を患っている患者さんでは糖尿病や高脂血症、心臓系の血管が石灰化を起こすことが多いと言われています
心臓の血管が石灰化すると将来的に心筋梗塞など致命的な状態になることもあります。
その他、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)と呼ばれる、主に大腸にたくさんの潰瘍ができる難病との関連も稀に合併すると言われています。
乾癬は皮膚だけに留まらず、全身的な疾患も併存する可能性がある事を考えると積極的に治療をするべきでしょう。
治療の選択肢も従来に比べると効果的な治療が増えました。
前回の院長日記では乾癬の治療についてお話ししましたので、ご参考ください。
「乾癬かな・・・?」
「なかなか治らない乾癬についてもっと積極的な治療がしたい。」など相談をされたい方は皮膚科専門医にご相談ください。