2022/04/14

院長日記

食物アレルギー、なぜ発症するの?

今回は食べ物のアレルギーはなぜ発症するの?についてお話しします。

 

皮膚を守るバリア機能が失われた状態で食べ物を触ったり、口の周りに付着したりすることが何度も繰り返されると、皮膚内部に刺激として伝わり、将来的にアレルギーになることが周知されるようになってきました。

 

例えば、赤ちゃんの口の周りがよだれや何度も拭くことでバリア機能が失われた状態で離乳食を食べさせていると、将来的に何らかの食物アレルギーを持つことがあります。

 

また、コムギが含有された石鹸で顔を洗っていた人に小麦アレルギーを発症した例も記憶に新しいかもしれません。

石鹸には汚れを浮かせる為に界面活性剤が入っているのですが、これは皮膚のバリア機能も壊します。それにより皮膚内部に小麦が侵入し、アレルギーを発症したのです。

 

また、バリア機能が失われる状態だけでなく、「生き物」に刺されることでアレルギーを発症することもあります。

例えば「クラゲ」に刺されることで発症する「納豆アレルギー」

「マダニ」に刺されることで発症する4つ足の動物「牛肉、豚肉、羊肉、馬肉アレルギー」

 

「クラゲ」に刺されるとなぜ納豆アレルギーになるのか?

クラゲに刺されるとクラゲの毒に含まれる物質「PGA」が体内に入ります。

何度が刺されるうちに体が「PGA」に対しアレルギーを持つようになります。

この「PGA」は納豆にも含まれているため、納豆を食べるとアレルギー症状を発症するのです。納豆以外にも「PGA」は食品の保存剤、旨味成分、化粧品、スポーツ飲料などなどにも含まれており、注意が必要です。

 

また「マダニ」に刺されると発症する肉アレルギー。

マダニの血中に存在する「α-gal」と呼ばれる物質が動物を刺すと動物の血中に入ります。

人間もマダニに刺されて「α-gal」が血中に入り、これに対してアレルギーを持ってしまうと、「α-gal」を保有する肉を食べた時にアレルギーが出るのです。

 

ちなみに、バリア機能が失われた状態の方やクラゲやマダニに刺された方皆さんがアレルギーを発症するわけではありません。

アレルギーを発症する危険因子として、

「長い間ずっとバリア機能が失われている」、もしくは「何度もクラゲやマダニに刺された」ということが挙げられます。

その証拠に様々な食べ物に対してアレルギーのある方は、小さい頃よだれかぶれや顔の湿疹がひどかった方に多く、

納豆アレルギーの方はサーファーなどマリンスポーツを日常的にされている方が多いのです。

 

なお、食物アレルギーの発症についての原因は今お話ししたものだけではありません。

消化吸収を行う腸管でアレルギーが発症されることもあります。

何にアレルギーがあるのか、ご自身で理解しておくと過度な食事制限は必要ありません。

クラゲの毒「PGA」やマダニの血中にある「α-gal」については検査は出来ませんが、アレルギー反応が出た時にどう対応するかは自己判断ではなく、医師に相談して適切に対応できるようにしておきましょう。