2022/07/13

院長日記

適切なシャンプーを選び方

今回はシャンプーのお話しをします。

なぜ皮膚科医がそんなお話をするのか??

実は頭皮の皮膚炎はシャンプーの影響で症状が出る場合や悪化させていることがあります。

シャンプーの選び方や使い方についてお話ししたいと思います。

 

シャンプーには「界面活性剤」が含まれています。

界面活性剤は皮膚についた汚れを浮かせる効果があります。

しかし、界面活性剤は汚れを落とすだけにとどまらず、皮膚に存在する「バリア機能」までも落としてしまいます。

「バリア機能」とは皮膚を守る膜であり、皮膚に入ろうとうする刺激をブロックしてくれる壁です。

「バリア機能」がなくなると、皮膚は色々な刺激に敏感に反応し、かゆみが出ます。

この時期には汗も痒みの刺激になります。

痒みが出ると、無意識にもしくは猛烈に皮膚を掻破し、傷をつけ、皮膚炎はどんどん広がります。

 

よって、シャンプーを使用する場合はなるべく界面活性剤が優しいものを使うことをお勧めします。

界面活性剤は大きく3つに大別されます。

①高級アルコール系

②アミノ酸系

③石鹸系

 

①高級アルコール系は市販のシャンプーの多くはこの界面活性剤が使われていますが、洗浄力が強いため皮膚が弱い方や皮膚炎を起こしている方には適していません。

成分表示としては「ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム」などとして表記されています。

 

②アミノ酸系は水に馴染みやすく、マイルドな洗浄力です。髪がきしんだりすることも少なく、割と使いやすいものになります。

成分表示としては「ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンTEA」などと表記されています。

 

③石鹸系は動物または植物系の油脂から作られており、もっともマイルドな洗浄力です。ただ、欠点としては髪がきしみやすく、使用後はセットのコンディショナーなどを使用した方が良いでしょう。

成分表示としては「石けん素地、カリ石けん素地」と表記されています。

 

シャンプーを選ぶ際には、まずボトルを手に取り、裏面の成分表示を確認し、アミノ酸系もしくは石けん系の界面活性剤が使用されているものを選ぶと良いでしょう。

さて、皮膚炎がひどい場合は皮膚にマイルドなシャンプーもできる限り使用を控え、お湯のみで洗うことをお勧めします。

具体的には39度程度のシャワーを頭皮にかけ、指の腹で優しくマッサージします。

髪が長い場合は髪を少しかきあげて、頭皮をお湯にさらすようにしてください。

お湯だけで洗う場合は髪がきしみやすいので、適宜コンディショナーのみ使用をしても良いでしょう。

 

ここでもう1点注意点です。

コンディショナーにも界面活性剤は含まれています。「カチオン界面活性剤」や「両性界面活性剤」などがあります。

これらは上に挙げた界面活性剤の補助としてシャンプーに混合されているか、コンディショナーの界面活性剤として使用されています。

髪の指どおりを良くしたり、静電気を防止したりする効果のあるものですが、上記の界面活性剤よりも皮膚への吸着が強いため、水洗いでは簡単に落ちません。

よって、頭皮には使用を控え、毛先のみ使用することをお勧めします。

 

頭皮の皮膚炎のある方に頭をどのように洗っているかお聞きすると、実に多くの方が洗浄力の強いシャンプーを使っていたり、かゆみがあるため、ついつい強く洗っているようです。

今一度頭の洗い方を見直して、長引く辛い頭皮の皮膚炎をしっかり治したいものです。

薬での適切な治療も必要ですが、シャンプーを適切に選び、頭皮の洗い方にも注意をしてみてください。