2022/09/13

院長日記

アトピー性皮膚炎 その病態とは?治療は?

今回は何度もお話ししていますが、
皮膚科の難治性疾患の一つ、
「アトピー性皮膚炎」についてお話しします。

 

アトピー性皮膚炎はサイトカインが異常に増える事から発症することがわかってきました。

 

「サイトカイン」とは?
身体にとって有害な物が侵入してこようとすると、それを阻止しようと身体に炎症を起こして追い出そうと号令をかける役割があります。

 

ところが、サイトカインが必要以上に増えてしまうと、自分の身体を痛めつけてしまうのです。

 

アトピー性皮膚炎ではサイトカインの影響で皮膚のバリア機能を弱めたり、痒みを引き起こし、皮膚を傷つけてしまうのです。

現在ではサイトカインの働きを抑える生物製剤が色々と出てきて、治療の幅が広がりましたが

 

従来の外用療法や内服療法でもきちんと効果を出す事も出来ます。

 

サイトカインによって壊されたバリア機能は、外用薬により皮膚をカバーする事で人工的に作ることができますし、薬が内部に浸透すると痒みや炎症を抑えます。

 

適切な外用量は、

1FTU(大人の人差し指におてんこ盛りにのせた薬の量)を手のひら2枚分の皮膚の面積に外用します。

 

また、適切な期間、薬を外用する事も大事です。
いつまで外用すれば良いのでしょう?
それは皮膚科の専門医が診て判断しますので、自己判断では中止しないでくださいね。

 

皮膚の外用薬はステロイドだけではなく、様々な薬も選択肢として増えました。

皮膚科医は皮膚の状態を診て、今この状態であれば、どの薬が適切なのかを判断して処方しています。

 

もちろん、毎日皮膚に薬を塗るという作業はとても大変ですし、時間もかかります。
ただ、この時間をきちんと習慣化してしまえば、あまり負担にはならならず、かつ、この時間こそが、ご自身の皮膚の状態を良くして、生活の質を上げる行為だと考えれば難しいことでは無いのかもしれません。

 

薬を処方しても、再診された時に「全く良くなりません」っと言われる事がありますが、それは薬の塗り方や何か他に治らない理由があるはずなのです。
治らない理由を一緒に探っていくのも、私達皮膚科医の役目だと思っています。