2023/02/18

院長日記

湿疹を根本的に治そう!(プロアクティブ療法)

今回は「根本的に湿疹を治そう!」という題目で「プロアクティブ療法」についてお話しします。

 

何らかの皮膚炎が生じた後、ずっと皮膚炎治らないもしくは、皮膚炎が出たり引っ込んだりしているという状態はありませんか?

 

こういった状態の皮膚を顕微鏡で観察すると、皮膚の内部ではまだ炎症を起こす細胞が居座り、再び何か刺激になる因子が皮膚に入れば、すぐにでも症状が再燃するような状態が続いているのです。

 

患者さんはなぜ湿疹が治らないのか・・・と心配されますが、実際は薬を使う期間が短すぎて、まだ皮膚炎は残っているのに中止しているということが多く見受けられます。

また、時に薬の量が少な過ぎて、実際に炎症を抑えらていないという場合もあります。

 

これを改善すべく皮膚科医がお勧めしているのが、「プロアクティブ療法」です。

「症状が良くなっても、しばらくはひどかった時と同じように薬を継続しましょう。」という治療のことです。

これは居座っている炎症細胞をまた再活性化しないようにすることが目的です。

 

いつまで「プロアクティブ療法」を続ければ良いのか・・は皮膚炎の状態によって変わりますので、一概には言えませんが、

少しの期間でも薬を中止すれば、すぐに痒みや赤みが再発してくるのであれば、まだ薬は毎日継続する必要があります。

また、皮膚の痒みは治ったが、「皮膚がざらついている」「うすっらと赤みがある」「ぶつぶつしている」「痒みの頻度は下がったが、まだ掻いてしまう」という状態は皮膚の炎症は残っていると考えた方が良いでしょう。

 

また、薬は適切な量を塗らないと、湿疹は治りません。

湿疹の面積が手のひら2枚分であれば、成人の人差し指の第一関節までおてんこ盛りにした量が必要です。

例えば成人の顔であれば、おでこから顔全体に塗るには手のひら3枚、つまりは人差し指第一関節のおてんこ盛り1個と半分が必要です。(小児の顔は手のひら2枚です)

 

薬を外用するということは、とても大変な作業かと思います。

特に全身性に湿疹があれば、薬を塗る時間もかなり要することでしょう。

今の生活の中でどうその時間を確保したら良いのかも考えなければなりません。

時々、診察中に患者さんと外用剤を塗る時間をどう作るかお話ししたりしますが、

アプリで好きな動画や映画を見ながらでも

勉強をしなくてはならない学生さんであれば、英単語帳を見ながらなどなど、

「薬を塗るぞ!」ではなく、「何か好きなこと、もしくはしなければならない事」をしながら・・

「~しながら塗り」はどうかな?とお話しします。

そして生活の中でそういった時間が確保され、湿疹も改善されれば、QOLも自然と上がり、痒みや湿疹のない生活を送れるようになるのではないでしょうか。

 

慢性的に持続、もしくは出没する皮膚炎と向き合うための一つのご提案でした。