2023/09/29
院長日記
「かぶれ」について
今回は「接触性皮膚炎」俗名「かぶれ」についてお話しします。
「かぶれ」は比較的皆さんにも馴染みのある皮膚炎なのではないでしょうか?
「かぶれ」はアレルギー反応の一つです。
私たちは毎日実に様々な物を皮膚に塗ったり、身につけたりしています。
女性であれば(最近では男性も)基礎化粧品から始まり、メーク用品、ボディケアーのための保湿剤。
時計やアクセサリー、メガネのフレーム、湿布薬などの薬 などなど。
いつも身につけている物が突然アレルギーになるとは一体どういうことなのでしょう。
人間の皮膚は体にとっては異物であるものを皮膚内部に入らないようにはねつける、「バリア機能」という機能が備わっています。
これは「天然の保湿因子」や「角層」と呼ばれる皮膚の一番外側に位置するレンガのような皮膚の組織です。
しかし、この「バリア機能」がなんらかの形で傷がついた状態で皮膚の内部に異物が入っていくことが続くと、「アレルギー」として体が認識するのです。
なんらかの形でバリア機能が傷つくって??どういうこと?
それは、
皮膚を洗い過ぎたり擦りすぎて皮脂膜や角層が破壊された状態や
基礎化粧品に含まれる「界面活性剤」により人工的に角層が破壊された状態。
その他汗で蒸れた状態で皮膚が擦れて角層が破壊された状態などです。
その他にも、アトピー性皮膚炎の患者さんは元々バリア機能自体が再生されにくく、かぶれを起こすこともよくあります。
なんでバリア機能が傷つくと、アレルギーになるの?
それは、皮膚の内部「表皮」と呼ばれる角層の下にある組織には「ランゲルハンス細胞」と呼ばれる細胞が、内部に侵入してくる異物の見張り番をしているのです。
そして、何度も皮膚内部に侵入してくる異物は勝手に悪者だと認識し、
白血球の一つである「T細胞」にそれを伝え、今後この異物が入って来た場合には排除するように!という指令を出します。
そして、一度ランゲルハンス細胞に異物と認識された物質はこれからもずっと体は排除しようとします。
体の中に「指名手配リスト」としてずっと体に掲示されているようなものです。
よって、「数年経ったら、もうかぶれは起こさないだろう。」は危険です。
そして、「せっかく高い化粧品だったから、顔じゃなくて違う部位に使おう」もダメです。
何故ならば、さっきお話しした「ランゲルハンス細胞」は全身どこの皮膚にも存在します。
よって、かぶれを起こした物を他の部位に使えば、瞬く間に体の排除反応、つまり「かぶれ症状」が出ます。
一度「かぶれ」を起こしたら、もうそれは使ってはいけません。
そういう意味でも、バリア機能をなるべく破壊しないように、
石鹸の使いすぎや皮膚を擦る行為は控え、
汗を皮膚に残さず、優しく拭く、風通しをよくするなど生活の工夫も必要です。