2023/10/28

院長日記

ウィルス性のイボ

今回は皮膚科の診療の中で、最も日々多く診察する「イボ」についてお話しします。

「イボ」と一概に言っても
・ウイルスが皮膚に侵入してできる「イボ」。
・紫外線や皮膚のターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)が悪くなることでできる「イボ」。
に大きく分かれます。

ウイルスが関わるイボを皮膚科では「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と呼び、
皮膚の生まれ変わりが悪くなることでできるイボを「脂漏性角化症」と呼びます。

 

今回は「尋常性疣贅」の方をお話ししたいと思います。
イボの原因は「ヒトパピローマウィルス」が感染することで生じます。

 

ちょっとした小さな傷があったり、皮膚が乾燥していたり、時には湿疹ができていたり、
その他皮膚がかなり湿った状態、、つまり汗で蒸れていたり
そんな状態にある皮膚にたまたまウィルスが侵入してしまうことからイボが発生します。

 

厄介なのは、このウィルスは皮膚の「角質」を巻き込み、徐々に固くし、いわば「城塞」を作り上げるような形で成長していきます。

手指に出来るイボは上に突出した城塞。
足指や足底に出来るイボは平らで硬い城塞を作ります。

 

なぜ、足のイボは平らになるのかと言えば、歩くたびにイボに圧力がかかり、下へ下へと追いやられるからです。

 

そして特に足のイボは手のイボに比べると、治りが悪いのも特徴です。
なぜ、足のイボは治りにくいのでしょうか。
それは、単純にイボの芯、根っこが皮膚の深部まで及んでいることや、手の皮膚に比べると角質が厚い分、治療が奏功しにくいこともあるでしょう。
また、手指に比べると、歩いたり立ったりすることで血管が圧迫され、血流も悪いため、イボのウィルスを追い出す免疫が働きにくいということも、挙げられています。

 

イボを治すためには、「液体窒素」を皮膚に当てます。
そして敢えて皮膚に炎症を起こさせて、ターンオーバーを促すのです。
その他にも「免疫力」を上げ、かつターンオーバーを促す「漢方薬」も比較的効果があると言われています。

 

イボの治療は水疱が出来たり、しばらく赤みも出たりと痛みを伴う治療でもあります。
また、数ヶ月から1年とかなり時間がかかる治療でもあります。

また、イボの治療中にも次々とイボが新生する人もいます。
イボが新生してきてしまう人は、免疫力が落ちていたり、手や足の汗が多く皮膚が蒸れていたり、手湿疹が強く、バリア機能が破壊されていたりということも考えられます。
その場合はイボが悪化している原因も解消していくことも大切でしょう。