2024/02/29
院長日記
ニキビの治療 最前線
ニキビはどうしてできるのでしょうか?
皆さんはきっとニキビは「ニキビ菌」だけが原因ではないことはすでにご存知かと思います。
しかし、外来治療をしているとニキビに効く「抗生剤」って処方してもらえないのですか?
と言われることが時々あります。
もちろんかなり重症のニキビには「抗生剤」も処方しなくては治りません。
ただし、意味もないのに抗生剤の内服をしたり、長期に内服することは、後々に「耐性菌」を発生させることになるので、あまり好ましくないのです。
(「耐性菌」とは、皮膚に増殖している菌が変異して、抗生剤が効かなくなってしまうこと)
さて、2008年以降にニキビ治療は大きく変わりました。
日本では処方ができなかった「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」といった治療薬が処方可能になったからです。
「アダパレン」はビタミンA(レチノイド)様の作用をします。皮膚は徐々に生まれ変わりをしているのですが、その生まれ変わりを調整して毛穴の角化を防ぐ作用があります。
「過酸化ベンゾイル」は毛穴に詰まった皮脂や古い角質を剥がし、かつ抗菌作用もあります。
選択肢が広がったことで、ニキビの重症度によってニキビ薬を色々と組みわせて患者さんにとって適切な治療を選ぶことができるようになったのです。
さて、ニキビ治療をしている病院を全国的に調査したところ、ニキビ治療を開始した人で3ヶ月後も治療を続けている人は約9%だそうです。
もう少し多いのではないかな?とも思うのですが、
患者さん側に立ってみると、
すぐに治ると思ったのに、実際には時間がかかること。
また、「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」を使用を始めて2、3週間は刺激感や皮膚が剥けるなどの症状が出ることが好ましくないと思われる方もいるからでしょう。
確かに、ニキビ治療には時間がかかります!
これは初診の時には必ず患者さんにお話ししているのですが、少なくとも3ヶ月は使用しないと目に見えて改善した状態にはなりません。
また薬の刺激症状も初めの2、3週間で落ち着くことが多いです。
もちろん、薬をつけた部位が赤く腫れ上がったり、ジュクジュクした状態になった場合は使用を控えてください。
さて、最後に最近ニキビ治療に「ビタミン剤を処方してください!」と言われる方が本当に多いのです。
確かにビタミンCは活性酸素を除去し、ニキビをできにくくする。
ビタミンBは皮脂の分泌を抑える。ハイチオールは皮膚の代謝を高めたり、解毒作用があると言われています。
しかし、これらはすべて食品から摂取できるビタミン剤やアミノ酸です。
薬に頼るよりも、普段の生活で偏りのない食生活と代謝を高めるための適度な運動などを心がける方がずっとずっと皮膚の状態を改善させることができるはずです。