2025/07/28
院長日記
赤ら顔(酒さ)について
「酒さ」とは主に中高年の特に女性に多い皮膚疾患です。
皮膚症状は頬や眉間、額、鼻に赤みやニキビ様の皮疹が見られ、それに比して痒みはああまり強くない傾向があります。
原因は一つではなく、
遺伝的素因、
外的な誘因
免疫学的な異常
が複雑に影響しあって、発症すると言われています。
外的な因子とは?
まず一つ目が「スキンケア」です。
洗浄力の強い洗顔料や洗顔用ブラシなどでゴシゴシ洗いを長く続けたり、
何種類もの保湿剤、美容液の使用も皮膚に負担かけることが原因です。
また、紫外線に長時間さらされたり、
鋭いカミソリでのシェービング、
そのほかにも、花粉、黄砂、PM2.5。
飲酒習慣。
最近は減少傾向にはありますが、長時間のマスクも外的な因子です。
さて、免疫学的因子とは?
これは「肥満細胞」と呼ばれる、皮膚の免疫を担っている細胞が異常に増殖してしまうことが原因と言われています。
肥満細胞は皮膚のバリア機能が破壊された際に皮膚内部に入ってくる様々な物質に対して自分にとって「悪者」かを判断する機能を持つ細胞なのですが、
肥満細胞が異常に増えると、ありとあらゆる物に対して反応するようになり、
皮膚に侵入してきた異物に対して、どんな時も「悪者」と判断し、攻撃を始めてしまい、皮膚に炎症を起こしてしまうのです。
また、それ以外にも皮膚に常在する雑菌や毛包に増殖する「ニキビダニ」も発症に関与しています。
実際には人間の皮膚にはどんな人も「ニキビダニ」は存在しています。
しかし、「酒さ」の患者さんはニキビダニが通常よりも多く存在し、それによる免疫反応が強く起こることが、発症に関与しています。
では治療方法は?
まず、外的因子を見直すこと必要です。
洗顔は低刺激性の洗顔料を使用し、ゴシゴシ洗うのではなく、泡立てた洗顔料を皮膚にのせ、ぬるま湯で洗い流しましょう。
洗顔後の保湿は刺激感のない物を選び、1つか多くて2つの保湿剤のみ使用しましょう。
メイクで使用するアイテムは最小限に。(メイクで皮膚を擦ることが悪化要因になるからです。)
そして皮膚科的な治療は?
先ほどお話しした「ニキビダニ」に対する外用薬「ロゼックスゲル(0.75%)」を使用したり、
雑菌の増殖を抑える抗生剤の外用を行うこともあります。
また免疫学的な因子「白血球」の増殖を抑えるために「ミノサイクリン」を内服することもあります。
そして最近では「アゼライン酸」も注目されています。
「アゼライン酸」は小麦や大麦に含まれている天然成分。
アメリカでは「酒さやニキビ」の治療としても承認されており、酒さの第一選択薬の一つでもあります。
日本ではまだ「薬」としては承認されてはいませんが、「化粧品」としては販売されています。
当院でも「アゼライン酸ゲル」を取り扱っております。
「アゼライン酸ゲル」は使用直後には軽度の痒みと刺激感が生じることがありますが、いずれも軽度~中等度の症状のため、使用後真っ赤に腫れ上がったり、ジクジクすることがなければ、継続しても問題ありません。
当院で「アゼライン酸ゲル」を処方する場合には、医師の診察が必要になりますので、あらかじめご了承ください。