2025/09/04
院長日記
皮膚科が窓口となりうる?内科疾患
今日は、「たかが、ただの皮疹」と思っても、実は内科的な疾患が隠れている?こともあるというお話をします。
内科的な疾患が皮膚症状として出る代表的なのは「膠原病(こうげんびょう)」です。
膠原病とは、「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」の一つです。
もう少し噛み砕いて言えば、体の中の免疫細胞が自分自身の内臓や皮膚などを攻撃してしまう疾患です。
皮膚症状として現れる代表的な膠原病は「全身性エリテマトーデス」やその類縁疾患である「円盤状エリテマトーデス」、
「皮膚筋炎(ひふきんえん)」、「強皮症(きょうひしょう)」、「シェーグレン症候群」です。
それぞれに典型的な皮膚症状が出ることが多く、皮膚科医はその典型的な皮疹を診た場合には膠原病を疑い、必要に応じて検査を行います。
検査は、まず血液検査を行い、それぞれの疾患で上昇する「自己抗体(じここうたい)」を精査します。
また、その他にも、皮膚生検をおこなって、病理診断を行うこともあります。
万が一「膠原病(こうげんびょう)」の診断がついた場合には、皮膚科医だけでなく、膠原病内科の医師と連携して治療にあたります。
なぜならば、膠原病は皮膚症状だけではなく、血管や腎臓、肺など他の臓器の障害が認められたり、
「皮膚筋炎」と診断された場合には20~30%の割合で「悪性腫瘍」が隠れている場合もあるからです。
ただ、膠原病が疑われても、膠原病とよく似た皮膚疾患の場合もあり、その鑑別には
「皮膚をよく見て、必要があれば触診し、そして詳細な病歴を聞きとり」
鑑別をしていく必要があります。
例えば、全身性エリテマトーデスの皮膚症状として典型的なもので「蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)」という皮疹があります。
頬から鼻にかけて蝶が羽を広げたような赤みが出るのですが、時に「酒さ様皮膚炎」や「脂漏性皮膚炎」、「伝染性紅斑(=リンゴ病)」に似ることもあります。
この場合、皮疹をよく観察し、また病歴や年齢、などから全身性エリテマトーデスが強く疑われる様であれば、採血で確認するといった具合です。
「たかが、ただの皮膚症状」と片付けず、
「なんだか、不思議な湿疹が出ているなあ」と感じた場合には皮膚科専門医にご相談ください。