2025/09/30
院長日記
アトピー性皮膚炎、今の治療に満足していますか?
今回は難治性の皮膚疾患である、アトピー性皮膚炎の治療についてお話しします。
果たして今の治療で満足はされているでしょうか?
アトピー性皮膚炎は慢性的に痒みと皮膚炎を起こし、時に生活の質を下げる疾患です。
また露出部に皮膚炎があれば、人目を気にされることもあるでしょう。
そして、夜間の痒みから、睡眠の質が下がり、日中の仕事や学業が困難になる事もあるでしょう。
既存の治療であるステロイド外用や抗ヒスタミン薬の内服だけでは中々改善が出来ず、中等度以上の難治性のアトピーでは、
最近では「生物学的製剤」や「ヤヌスキナーゼ阻害薬」「免疫抑制剤」を使用する事が推奨されています。
この中でも「生物学的製剤」はより安全に使用が可能であり、今までの治療では痒みや湿疹の改善に乏しい場合には導入する事が多くなりました。
ただ、生物学的製剤はタンパク質である為、内服では消化酵素の影響を受けてしまうため、全てが注射薬になります。
注射がどうしても苦手です。
または、生物製剤を試してみたが、なかなか良くならない場合には
「ヤヌスキナーゼ阻害薬」や「免疫抑制剤」も選択肢になります。
「生物製剤」がアトピー性皮膚炎で異常に増えている特定の「サイトカイン」が作用しないよう抑えこむのに対し、
「ヤヌスキナーゼ阻害薬」は異常増殖している「サイトカイン」自体を産生されなくする薬です。
ただヤヌスキナーゼ阻害薬は生物学的製剤に比べると、免疫力を強力に下げる可能性が高いため、事前に結核やその他の感染症にかかっていないかのスクリーニング検査が必須となります。
また、薬価は生物製剤もヤヌスキナーゼ阻害薬どちらも高額です。
ただ、ご自身の1年間の収入によって窓口での負担額が軽減できたり、
お勤めの会社によっては、会社自体が一定の医療費を負担して下さる場合もある様です。
ちなみに、生物製剤もヤヌスキナーゼ阻害薬も、あくまでも既存のステロイドやそれに代わるタクロリムスやデルゴシチニブなどの外用薬や抗ヒスタミン薬の内服でも十分な効果が得られず、中等度以上の活動性のみられるアトピー性皮膚炎の患者であることが絶対条件です。
すなわち、ある一定の治療をきちんと継続したにもかかわらず、治療が奏功しない場合であるということが条件です。
今の治療では満足できない。
痒みや湿疹がひどく、毎日がとても辛い。など、
ご自身はこの治療の適応なのかどうか、是非皮膚科専門医にご相談ください。