2025/11/25

院長日記

皮膚科が窓口となる内科疾患「皮膚筋炎」

今回は9月にお話しした、「皮膚科が窓口となる内臓疾患」について、

特に「内臓悪性腫瘍」が隠れている可能性がある「皮膚筋炎(ひふきんえん)」についてお話しします。

皮膚筋炎とは?

特徴的な皮膚症状と筋力の低下が特徴的である疾患。

そして、患者さんの約30%ほどに内臓悪性腫瘍が隠れている可能性がある疾患です。

特徴的な皮膚症状とは?

・両目の上の赤みと腫れ(ヘリオトロープ疹)

・手指の関節部の数ミリ大のブツブツ(ゴットロン兆候)

・爪の根元の毛細血管が拡張

・膝や肘の関節の赤い斑

・首から胸、背中などに強い痒みを伴う赤みや皮膚の萎縮(ショールをまとった感じに赤みが出ることからショールサインと言われる)

そして、これらの皮膚症状と共に、

・物を持つときに力が入りにくい、

・立ち上がりにくい、

・階段の昇降が難しい

・物を飲み込みにくいなど

これらの筋力低下症状があると、皮膚科医は「皮膚筋炎」の可能性を疑い、

確定診断のために血液検査をして、皮膚筋炎に特徴的な「自己抗体(じここうたい)」を調べます。

診断がつき次第、内臓悪性腫瘍が潜んでる可能性も疑い、

大学病院など全身の検査のできる病院へご紹介し、膠原病内科と連携、もしくは引き継ぎをすることとなります。

40代以降で、

今までアトピー性皮膚炎など皮膚疾患を患ったことがない、

皮膚は元々割と強かったはずなのに、治らない皮膚炎が出てきた。

などなど、そういう方で今回お話ししたような皮膚症状や筋力低下症状が出てきた場合には要注意です。

皮膚筋炎の患者さんの中ではすでに悪性腫瘍が存在している場合と、

皮膚筋炎を発症して数年後に悪性腫瘍が見つかった場合もあります。

今回お話しした特徴的な皮膚症状に筋力低下を伴っている場合には皮膚科専門医にご相談ください。